うさぎの手術では、全身麻酔が必要になることがあります。
しかし、うさぎは犬や猫とは身体の構造が大きく異なり、全身麻酔の管理にはより高度な知識と技術が求められます。
特に大きな課題となるのが「気道の確保」です。
うさぎは気管挿管が難しい動物です
うさぎは口が小さく、舌が大きいうえ、喉の奥が非常に見えにくい構造をしています。
そのため、犬や猫では一般的な「気管挿管(気管チューブを気管内へ入れる処置)」が難しく、麻酔管理の難易度を高める要因のひとつとなっています。
気道が十分に確保できないと、
- 麻酔ガスの管理が不安定になる
- 酸素供給が不十分になる
- 緊急時の人工呼吸が難しくなる
などのリスクが生じます。
V-gel® advancedとは?
当院では、うさぎ専用に開発された気道確保デバイス
「V-gel® advanced(ブイジェル アドバンスド)」
を導入しています。
V-gel® advanced
V-gel® advancedは、うさぎの解剖学的構造に合わせて設計された特殊なゲル素材の気道管理器具です。
従来の気管チューブのように気管内へ深く挿入する必要がなく、喉頭周囲にフィットすることで安定した気道を確保できます。
V-gel® advancedの主なメリット


① 気道を安全に確保しやすい
うさぎ特有の複雑な気道構造に適合するよう設計されているため、安定した酸素供給と麻酔管理が可能になります。
② 人工呼吸が行いやすい
麻酔中に呼吸が浅くなった場合でも、人工呼吸を行いやすくなり、より安全な麻酔管理につながります。
③ 気道損傷のリスクを軽減
従来の気管挿管では、まれに口腔内や喉頭部を傷つけてしまうリスクがあります。
V-gel® advancedは柔軟なゲル素材を採用しており、組織への負担を軽減できると考えられています。
④ 麻酔導入・覚醒がスムーズ
装着や取り外しが比較的容易なため、麻酔時間の短縮や覚醒時の負担軽減にも役立ちます。
当院の考え方
うさぎの麻酔に「絶対安全」はありません。
しかし、
- 適切な術前検査
- 麻酔中の継続的モニタリング
- うさぎ専用の気道管理器具
- 豊富なうさぎ診療経験
を組み合わせることで、麻酔リスクを可能な限り低減することはできます。
当院では開業前から30年以上うさぎ診療に携わり、現在も年間約1,000頭のうさぎを診療しています。
うさぎは犬や猫とは異なる「完全な別種」です。
だからこそ、手術や歯科処置の際には、うさぎの特性を理解した設備と麻酔管理が重要だと考えています。
院長からひと言
「うさぎは麻酔が危険だから手術はできない」と言われた経験のある飼い主様もいらっしゃるかもしれません。
確かに麻酔にはリスクがあります。
しかし近年は麻酔薬やモニター機器、そしてV-gel® advancedのような専用デバイスの発達により、うさぎの麻酔管理は大きく進歩しています。
当院では、うさぎ一頭一頭の状態を丁寧に評価し、必要な検査と安全対策を行ったうえで麻酔・手術に臨んでいます。
うさぎの手術についてご不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。
監修. 新田 健
2026/6/1
北里大学獣医畜産学部獣医学科卒業
うさぎ診療30年以上