避妊手術のデメリット
1.太りやすくなる。
去勢手術のデメリットでも同様に 避妊手術をすると今まで作ってた雌性ホルモン作らなくてよくなるので、今までと同じ量を食べていると太ってしまうことが多いです。
これはウサギに限らず犬や猫でもそうです。
このことに関しては、食事量をコントロールすることで解決します。
2.手術による麻酔のリスク
麻酔事故により命を落としてしまう可能性は残念ながら否定できません。
(麻酔事故確率:約5%)
確かにウサギは、犬や猫よりも麻酔による死亡事例は多いと思います。
うさぎでは全身麻酔での気管チューブ(口腔内からチューブを肺の近くまで入れて、呼吸を調整する)を挿入することがかなり難しいのもその理由の一つです。
ベテラン獣医師でさえもかなりてこずります。
当院では、ウサギの全身麻酔をするときは必ずウサギ専用の気管チューブ(V-GEL)を使用します。
これを導入してからは、ウサギの全身麻酔による手術時間が短縮され、安全性が飛躍的に改善されました。
避妊手術のメリット
子宮疾患(特に子宮腺癌)の予防
ウサギの子宮疾患は多いです。
子宮疾患の発症年齢は大体4〜5歳位から増えてきます。
子宮疾患の約半数位が、子宮腺癌のことが多いです。
子宮疾患で最も多いのが子宮腺癌で、2番目に多いのが子宮内膜家形成です。
出産の有無は、子宮疾患には関係ないです。(要するに、子供を産んでようか産んでまいが発症率は変わりません)
子宮疾患の症状
1.無症状
2.食欲はあるが痩せていく。
ウサギの子宮には痛みを感じる神経が少なく、子宮疾患になっても痛みを感じずに食欲がある。
3.尿に血液が混ざる。
これは膀胱炎の時にもある症状ですが、違いは黄色い尿の中にポツンポツンと赤い出血が目立ってくることです。2〜3日経過するとその症状が消えて治ったように見えてしまう。これが怖いところです。
4.乳腺の異常(乳腺が張ってきて、乳汁が滲み出てくる)
5.偽妊娠(想像妊娠、自分の毛をむしっての巣作り行動)
6.最終段階の食欲不振(肺転移、巨大で破裂寸前の子宮、重度の貧血)
よくあるパターンで、ある動物病院で出血尿があるから診察してもらったときに、『膀胱炎』と診断されて抗生物質をもらって様子をみていたら、実は子宮腺癌だったという事はよくあります。
要するに、子宮疾患の初期には元気食欲があるので、抗生剤を飲んでも飲まなくても出血が止まってしまうことがあるので見過ごされてしまうことがよくあります。
乳がんの予防
犬や猫では、避妊手術の目的は乳がんの予防がメインになります。
ウサギは、犬や猫ほど乳がんの発生率が多いわけではないのですが、ウサギの子宮疾患に比べれば、比較的少ない方です。
子宮腺癌になってしまってからの手術について
1.転移の前なら手術は間に合うこともある。
しかし、健康体の手術に比べると、危険率はあります。
いつから癌が始まったかは誰にもわからないので、経過時間が長ければ長いほど危険率は高まります。症状が出た日が癌になった日ではないので。。。
2.手術時間が通常の避妊手術もかなり長くなる。これにより麻酔の危険率も上がってしまう。
3.手術費用が通常の避妊手術に比べて高額になる。
4.手術前にレントゲンにて転移がないことを確認しても、術後で数ヶ月転移することもある。
避妊手術を実施する時期
生後5ヶ月未満では、体がまだ未発達なので推奨ができません。
生後1年以上経ってくると、内臓脂肪が多くなり始めるので、手術時間が長くなりやすくなります。
よって、私は生後7ヶ月から1年の間が避妊手術を推奨できる時期であると考えています。
(獣医師の間でも様々な意見や考え方があるので、あくまでも私見です。)
まとめ
避妊手術は決して絶対にしなければならない手術ではありません。
避妊手術のメリット、デメリットをよくよく検討して、最終判断をしてください。
私は避妊手術を無理にはお勧めしませんが、メリット、デメリットを知らずに単純に怖いからだけでは飼い主さんやウサギさんに良いことがないので、今回のブログを執筆させていただきました。
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