去勢手術のメリット
メリット1.スプレー行為をしなくなる
スプレー行為は、いわゆるマーキングと呼ばれ、ウサギが部屋のいろんな場所に尿をする行動です。
スプレー行為を始める前であれば、去勢手術を行うことで防ぐことができます。
また、スプレー行為を始めた後であっても、早い段階で去勢手術を行うことができれば、その後の行為を予防できます。
しかし、スプレー行為が数ヶ月続いた後に去勢手術を行っても、行為が習慣づいてしまっている場合には効果が薄いかもしれません。
したがって、必要であれば去勢手術を行う場合は、早めに実施することが望ましいです。
メリット2.うさぎの喧嘩を軽減する
うさぎオス同士の喧嘩を軽減できます。
複数のウサギを飼うのであればメリットがあるでしょう。
しかし喧嘩の軽減は、大体の場合はウサギの性格にもよるものなので、効果が100%というわけではありません。
メリット3.マウント行為をしなくなることもある
マウント行為とは、ウサギが座布団や飼い主の膝などにしがみつき、腰を振る行動、通称「繁殖行動」として知られています。
この行動を許していると、腰を痛めることがあるので止めさせるべきだと考えます。
去勢手術を実施することで、これらの行動をある程度抑制することはできるでしょう。
メリット4.病気の予防
▼精巣腫瘍の予防
雄性ホルモンの影響で精巣が腫瘍化することが知られています。
去勢手術をすることでこれらを100%予防することができます。

▼鼠径ヘルニアの予防
左右の足の付け根に穴(鼠径)があります。
雄性ホルモンが出続けると、その周辺の筋肉が薄くなってきます。
力んだ時にそこが裂けて内臓(最も多いのが膀胱)が飛び出してくる病気です。
去勢手術をすることでこれらを100%とは言えませんが、ある程度は予防することができます。

去勢手術のデメリット
デメリット1.太りやすくなる
犬や猫と同様、ウサギも去勢手術によって性ホルモンが減少し、同じ量の食事を摂取している場合に太りやすくなります。
ただし、去勢手術後に食欲が著しく増加するわけではありません。
太る原因は同じ量の摂取であるため、食事の適切な管理が重要です。
デメリット2.手術時の麻酔のリスク
猫の去勢手術における麻酔リスクは、先天性疾患がない限り0.1%未満と考えられます。
しかし、ウサギの場合、去勢手術に関係なく麻酔のリスクは犬や猫よりも明らかに高くなります。
去勢手術が必要な場合
- スプレー行為に困っている場合
- 雄の多頭飼育をしていて、喧嘩による大怪我のリスクがある場合
- 出産の予定がないメスウサギと一緒にしたい場合
- 雄特有の病気を防ぎたい場合
去勢手術が不必要な場合
うさぎが睾丸腫瘍や鼠径ヘルニアにかかるリスクと手術の麻酔による死亡率を比較すると、手術の麻酔死亡率が明らかに高い場合は手術を避けるべきです。
ただし、メスうさぎの場合は明らかに子宮がんになるリスクが高まるため、メスの避妊手術はお勧めしています。
去勢手術を実施する時期
一般的に、スプレー行動などの問題行動が生後約半年以降に現れ、これらは時間の経過とともに悪化する傾向があります。
また、スプレー行動が始まってから長い時間が経過した場合、去勢手術をしてもその癖が抜けず、効果が期待できない可能性は否めません。
そのため、去勢手術を早い段階で行うことができれば、その分問題行動を早期に抑えることができます。
ただし、3歳や5歳になったからといって、手術が出来ないわけではありませんが、若い時期と比較して麻酔のリスクが増加する可能性があります。
ウサギの健康と幸福を考え、適切な時期に去勢手術を検討してください。
まとめ
去勢手術は決して絶対にしなければならない手術ではありません。
去勢手術のメリット、デメリットをよく検討して、最終判断をしてください。
私は去勢手術を無理にはお勧めしませんが、メリット、デメリットを知らずに単純に怖いからだけでは飼い主さんやウサギさんに良いことがないので、今回のブログを執筆させていただきました。
すいれん動物病院
院長 新田健
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